鋼と銑鉄の組織
改作前の1885年の報告は全文も現存しており、内容を知ることができます。
それは20年前に錬鉄、鋼、鋳鉄、可鍛鋳鉄、スピーゲルアイゼン(高マンガン銑鉄)、ロートアイアンなどについて顕微鏡組織を調べた研究をそのまま記述したものです。
そこでは顕微鏡で識別される鋼と銑鉄の組織として、七種のものが列挙されています。
1.フリーアイアン、2.真珠(パール)色をした炭素との化合物、3.おそらくより多量の炭素と化合したものである硬質化合物、4.いろいろに変わる残査物質、5.グラファイト、6.シリコン物質、7.溶融酸化鉄を含むスラグ。
その後の命名で①は常温での鉄の結晶体フェライト、3.は炭素と鉄の化合物質セメンタイト、2.はフェライトとセメンタイトの共析晶パーライトとよばれることになります。
これらのものがどのようなメカニズムで生まれてくるのかということこそが、やがて金属の科学者たちが必死に格闘するテーマとなるのであるが、ソルビーがすでに60年代に、鋼のなかでフェライト(鉄)、グラファイト(炭素)、セメンタイト、パーライト(フェライトとセメンタイトの層状組織)がいかに複雑多様に結晶をつくっているか、そしてそれが錬鉄、鋼、鋳鉄などでどのように異なるかを正確に掴んでいたのです。
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